孵化器の管理といえば聞こえは難しそうですが、基本は卵を入れて21日間待つだけです。温度と転卵さえ押さえれば、あとはほとんど手がかかりません。この記事では、実際に2台の孵化器を使ってきた経験をもとに、選び方と管理のポイントを正直に書きます。
孵化器の種類と選び方 / 実際にやっている管理(日付記入だけ) / 転卵と検卵のポイント / 孵化当日の対応 / 自分の鶏の卵を使う方法
孵化器(インキュベーター)とは
孵化器は、卵を適切な温度・湿度に保ち続けることで、親鶏の代わりに卵を温め孵化させる機器です。鶏卵の孵化には約21日かかります。この間、温度・湿度を安定させ、定期的に卵を回転させる(転卵)必要があります。
市販の孵化器にはさまざまなタイプがあります。フリマアプリで数百〜2,000円ほどで手に入る安価なものから、自動転卵・自動給水機能を備えた本格的なものまで幅広くあります。
実際の管理はシンプル
記事に数値をたくさん書きましたが、正直なところ毎日細かく管理しているわけではありません。実際にやっていることはこれだけです:
- 卵を入れるときに産んだ鶏の名前(または識別番号)と入卵日を卵に直接書く
- 孵化器の温度表示を目視で確認する(37℃台に入っていればOK)
- 自動転卵がついていない場合は1日数回手で回す
- あとは21日間待つ
難しく考えすぎず、まず1回やってみるのが一番の近道です。
実際に使った2台の孵化器
1号機——6個用(フリマサイトで約1,500円)

1号機:フリマサイトで約1,500円で購入した6個用の孵化器

内部のトレーと給水口。溝に毎日水を補給する構造
最初に使ったのがこの小型タイプです。自動転卵機能はついているものの、実際には卵がうまく回らないことが多く、結局は1日3〜5回、手動で卵を回していました。給水は本体底部の溝に毎日水を入れる方式で、少し手間はかかります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | フリマサイトで約1,500円 |
| 容量 | 6個 |
| 自動転卵 | △ 機能はあるが回りにくい→手動補完が必要 |
| 給水方式 | 溝への直接補給(毎日必要) |
| 向いている人 | まず試してみたい、少数だけ孵化したい |
2号機——12個用(Amazon購入)

2号機:12個用。37.7℃・76%を表示中。ボトル式給水タンクが2本付属

透明ドームを外した内部。赤いトレーの上に卵が並ぶ

卵に入卵日(5/10)を記入して管理。日付を書いておくと混ざらない
現在メインで使っているのがこの12個用です。自動転卵がしっかり機能しており、設定時間ごとにトレーが左右に傾いて卵を転がしてくれます。給水は300mlほどのボトルが2本付属しており、外部から自動的に水を供給する仕組みです。週1回程度の補給で十分な点がとても楽です。
付属のライトで卵の中を確認しようとしましたが、光量が弱くあまり見えませんでした。検卵(キャンドリング)には市販の懐中電灯の方がよく見えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | Amazon購入 |
| 容量 | 12個 |
| 自動転卵 | ◎ しっかり機能する |
| 給水方式 | 外付けボトル式(約300ml×2本)。週1回程度の補給で十分 |
| 検卵用ライト | △ 付属ライトは光量不足。懐中電灯を別途使用 |
| 向いている人 | 複数羽を孵化したい、手間を減らしたい |
温度・湿度の管理
孵化器の設置が終わったら、卵を入れる前に24時間以上空運転して温度を安定させてください。設定値と実測値にズレがある場合は調整します。
| 期間 | 温度 | 湿度の参考値 |
|---|---|---|
| 入卵〜18日目 | 37.5〜37.8℃ | 50〜65% |
| 19〜21日目(孵化期) | 37.5℃前後 | 65〜75%(やや高め) |
多くの家庭用孵化器はディスプレイで湿度を表示できますが、温度のように設定値で制御する機能はありません。湿度は給水量・室内の湿度・換気穴の状態によって自然に決まります。上の数値はあくまで参考値です。孵化に成功している方の多くは、温度管理を最優先にして湿度はあまり気にしすぎない、という方針で運用しています。
孵化器内蔵のセンサーは精度にばらつきがあります。安価なデジタル温湿度計を1つ卵の隣に置いて確認する習慣をつけると安心です。
孵化期間中に長時間停電が起きると卵が冷えて致命的になります。特に冬場は別の熱源(カイロを布で包んで近くに置くなど)を一時的に使う方法もあります。
発泡スチロール台座は付属品
写真の2号機に見えている白い発泡スチロールのトレー・台座は、購入時からセットで付属しているものです。断熱性を高める設計になっており、底面からの放熱を抑えて温度を安定させる役割があります。
発泡スチロールはペットがかじったり掘ったりしやすい素材です。わが家でも猫に台座をいたずらされました。孵化器は棚の上など、ペットが触れにくい場所に置くことをおすすめします。
転卵のポイント
転卵は、卵の中で胚が殻にくっついてしまうのを防ぐために行います。1日に3〜5回(奇数回が理想)卵を90°以上回転させます。手動の場合はマジックで印をつけておくと回したかどうかわかりやすいです。
- 転卵を止めるタイミング:18日目(孵化3日前)から転卵を止め、卵を動かさない「ロックダウン」に入ります
- ロックダウン後は蓋を開けず、湿度を高めに保ちます
1号機の経験のように、自動転卵機能があっても実際に卵が動いているか目で確認する習慣をつけましょう。動いていなければ手動で補完します。
検卵(キャンドリング)のやり方
孵化器内の卵が有精卵かどうか、正常に発育しているかを確認する作業です。暗い場所で卵の鈍端(丸い方)に光を当てて中を透かして見ます。
| 時期 | 有精卵の見え方 | 無精卵・死卵の見え方 |
|---|---|---|
| 7日目ごろ | 細かい血管が蜘蛛の巣状に見える | 透明のまま(無精卵) |
| 14日目ごろ | 卵の大半が暗く、気室(空洞)が見える | 血の輪(血管が消えた死卵) |
無精卵や死卵はカビの原因になるため、確認できたら取り出します。ただし判断に迷う場合は取り出さずそのまま様子を見てください。慣れないうちは誤判定して生きている卵を捨ててしまうことがあります。
21日間の孵化スケジュール
- 入卵前日孵化器を24時間以上空運転。温度・湿度を安定させる
- 1日目入卵。卵に入卵日を記入。転卵開始(1日3〜5回)
- 7日目第1回検卵。無精卵を取り出す
- 14日目第2回検卵。死卵がないか確認
- 18日目転卵停止(ロックダウン開始)。湿度を70〜75%に上げる。以降は蓋を開けない
- 21日目前後孵化。殻を自分で破るまで手を出さない。すべてのひよこが出揃うまで2〜3日かかることもある
孵化に時間がかかっていても、自分で出てこられないひよこを無理に助けると逆に死なせてしまうことがほとんどです。どうしても心配な場合は、孵化から24時間以上経っても全く動きがない場合のみ、慎重に判断してください。
孵化後の流れ
孵化したひよこは、羽が完全に乾くまで(2〜4時間ほど)孵化器の中に入れておきます。その後、準備してあるブルーダー(保温箱)に移します。孵化直後のひよこは約24〜48時間は餌がなくても卵黄を吸収しているため、すぐに餌を食べなくても心配ありません。
ブルーダーの準備やひよこの育て方については、次の記事「ひよこ期(0〜4週)の育て方——保温・餌・水」で解説しています。
オスがいれば有精卵は自分で用意できる
有精卵は販売・頒布しているサイトから購入することもできますが、オスとメスを一緒に飼っていれば、毎日産む卵がそのまま有精卵になります。わが家の孵化器に入っている卵も、現在飼っている鶏が産んだものです。購入コストゼロで、しかも親の顔がわかる状態でひよこを得られるのが自家孵化の大きなメリットです。
孵化してもオスかメスかは選べませんが、増やしながら構成を整えていくのも鶏飼いの楽しみのひとつです。
次のチャレンジ——鶏に抱卵させる
孵化器を使う方法のほかに、鶏自身に卵を抱かせて孵化させる「自然孵化(抱卵)」という方法もあります。機器も電気代も不要で、親鶏が全部やってくれます。ただし条件がいくつかあります:
- 鶏が「就巣(しゅうそう)」と呼ばれる抱卵本能を発揮しないと成立しない
- 一度に複数の卵がないと難しい
- 品種によって就巣しやすいもの(烏骨鶏・矮鶏など)としにくいものがある
わが家でも次のチャレンジとして抱卵を試みる予定です。うまくいったら別の記事で報告します。
まとめ
- 孵化器はフリマの安価なものでも孵化できるが、自動転卵・給水機能が充実したものの方が管理が楽
- 温度は37.5〜37.8℃、湿度は55〜65%(孵化期は70〜75%)を目標に
- 転卵は1日3〜5回、18日目で停止
- 検卵は7日目と14日目に実施し、無精卵・死卵を取り出す
- 孵化は自分で出てこさせるのが原則。手助けはほぼ逆効果

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