鶏を飼い始めてから、糞を肥料として畑に使っています。ただ、「どの野菜にも使えるのか?」というのがずっと気になっていました。
調べてみると、意外とNG野菜が多くてびっくり。農業試験場や種苗会社の資料を読み込んで、自分なりに整理してみました。
鶏糞ってどんな肥料?
まず鶏糞の成分を調べると、千葉県農林総合研究センターの分析では採卵鶏の糞堆肥(39点平均)はこんな数値らしいです。
ひとことで言うと「速効性の窒素+高リン酸+強アルカリ」。
牛糞に比べてリン酸は3〜4倍、石灰は5倍以上というから結構すごい。リン酸が突出しているのは飼料由来で、鶏はリンの吸収率が低いためです。
肥効のスピードも速いのが特徴です。
同じ研究では窒素の効き方が化学肥料比で約70%(牛糞は約30%)。施用後4週間ほどで化成肥料に近いスピードで効いてきます。
自家養鶏の副産物として考えると、かなり優秀な肥料ですね。
鶏糞が合わない野菜4グループ

① サツマイモ:つるボケで芋が太らない
サツマイモは窒素にとても敏感で、多すぎると「つるボケ」(つる・葉ばかり茂って芋が太らない状態)になるそうです。
さらに調べると、農研機構の研究でサツマイモは茎に共生する細菌の力で空中窒素を自分で固定していることが実証されているとのこと。
つまりもともと窒素がほぼ要らない作物なんですね。
そこに鶏糞を足したら過剰になる、という話みたいです。なるほど、と思いました。
痩せ地ではむしろ無肥料〜カリのみで育てるのが安全らしいので、鶏糞はやめておこうと思います。
② ジャガイモ:そうか病を助長する
ジャガイモで鶏糞を避けたい理由は「そうか病」でした。
長崎県農林技術開発センターの資料によると、堆肥の連用で土壌のpHが上がるとそうか病が助長されるとのこと。鶏糞は他の堆肥より特にpH上昇が大きいので注意が必要と明示されていました。
そうか病の原因菌はpH 5.2以上で発生し、6.5以上で多発するとのこと。
鶏糞はpH 8.9なので最悪の組み合わせ。日本いも類研究会も「鶏糞は生育を遅らせ水っぽい芋になりやすいので使わない方が良い」としているそうです。
これは使えないですね。
③ マメ科(エダマメ・インゲンなど):莢付きが悪くなる
マメ科は根粒菌の働きで自分で窒素を作れる植物です。
なので元肥に窒素を入れすぎると逆効果になるらしいです。
秋田県立大学の研究では、土壌中に硝酸が多いとダイズの根粒形成と窒素固定が著しく阻害されると報告されているとのこと。
タキイ種苗のエダマメ栽培マニュアルにも「チッソ分が多いと茎葉が大きくなりすぎて着莢や莢肥大の妨げになる」と書いてあるそうです。
「窒素ゼロが正解」ではないようですが、鶏糞をどっさり元肥にするのはNGということみたいです。
④ ハーブ類(ローズマリー・ラベンダーなど):香りが落ちる
地中海原産のハーブは乾燥した痩せ地・アルカリ性土壌を好み、肥料をほとんど必要としないとのこと。
窒素を与えすぎると香りが薄くなる・葉が徒長する・病害虫を呼ぶといった弊害が出るそうです。
ハーブにはバーク堆肥や腐葉土で十分、とのこと。鶏糞は使わない方がよさそうです。
根菜類(ダイコン・ニンジン・ゴボウ)は使い方次第
「窒素が多いと又根になる」というのはよく聞きますが、これは部分的に正しいが主因ではないそうです。
タキイ種苗のダイコン栽培マニュアルによると、又根の原因は「直根が伸びる時に成長点が土塊や肥料に当たったり、乾燥などで傷むこと」とのこと。
つまり鶏糞が問題になるのは「窒素が多いから」ではなく、塊で偏在しやすく、未熟だと発酵熱とアンモニアを出すかららしいです。
完熟したものを植え付けの2〜4週間前に全層施肥すれば根菜にも使えるとのこと。青森県の試験でも可能と裏付けられているそうです。
未熟な鶏糞は特に危険
どの野菜でも共通する注意点として、「未熟な鶏糞を使わない」ことが大事みたいです。
未熟だとアンモニアガスが発生して葉が黒ずんで萎れたり、亜硝酸ガスで葉が白化するといった障害が起きるそうです(岡山県の普及指導資料より)。
施用タイミングの目安はJA東京みどりの資料によると、発酵鶏糞は植え付けの1〜2週間前、乾燥鶏糞は3〜4週間前に土とよく混ぜること。
完熟品の見分け方は「黒褐色・土の匂い・サラサラ・外気温と同じ温度」だそうです。
逆に鶏糞が向く野菜
合わない野菜ばかり書きましたが、向いている野菜もたくさんあります。
- 葉物野菜(キャベツ・ハクサイ・ホウレンソウ・コマツナ)
- 果菜類(ナス・ピーマン、長期栽培の追肥に)
- ネギ・タマネギ
- サトイモ
- トウモロコシ
これらは吸肥力が強く、鶏糞のNPKバランス・速効性・石灰がプラスに働くとのこと。うちの畑では葉物に積極的に使っていこうと思います。

早見表
| 作物 | 適合性 | 理由 |
|---|---|---|
| サツマイモ | × 回避 | つるボケ・芋の肥大阻害 |
| ジャガイモ | × 回避 | そうか病助長・水っぽい芋 |
| マメ科(エダマメ等) | × 元肥に不可 | 根粒形成阻害・莢付き不良 |
| ハーブ類(地中海系) | × 不要 | 香り低下・徒長 |
| ダイコン・ニンジン・ゴボウ | △ 完熟・前作なら可 | 又根リスク |
| キュウリ・メロン等ウリ科 | △ 注意 | アンモニア態窒素に弱い |
| トマト | △ 過繁茂注意 | 茎葉が茂りすぎる |
| キャベツ・ハクサイ等葉物 | ◎ 推奨 | NPKと石灰が適合 |
| ナス・ピーマン | ◎ 推奨(追肥) | リン酸が花芽を促進 |
| ネギ・タマネギ | ◎ 推奨 | 試験データあり |
| サトイモ | ◎ 追肥推奨 | 有機栽培マニュアル推奨 |
まとめ
調べてみて一番驚いたのは、サツマイモが「自分で窒素を固定できる」という話。
だから肥料がほぼ要らないんですね。知らずに鶏糞をやっていたら大変なことになっていたかもしれません。
「二次発酵済み(完熟)」を確認。黒褐色でサラサラ、土の匂いがするものが目安。
土壌改良は牛糞やバーク堆肥に任せて、鶏糞の連用は避ける。
サツマイモ・ジャガイモ・マメ科・ハーブには使わない。葉物・長期果菜・ネギ・サトイモには積極活用。


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